今回はGTX1060 6GBのグリス交換をしてオーバークロックで性能向上を目指します。
グラボ紹介
グリス交換するグラボはメインPCで使用しているZOTACのGTX1060 6GB SingleFanになります。
今となっては旧世代になってしまったグラボですが、今でもシェア割合の高いグラボの1つでもあります。(参考:Steam ハードウェア & ソフトウェア 調査: April 2020
発売から4年近く経つグラボなのでグリスの経年劣化が気になるところです。
しかも使用して1年以上経っていて埃の蓄積も目立つので、気分を一新すべく清掃を兼ねたグリス交換を行います。
*分解行為やOCは保証外の行為になるため行うときは自己責任で
分解・清掃・グリス交換編
まずはクーラーを取り外します。
クーラーのカバーとファンを固定しているネジを7か所外します。
ネジが外れたら、ファンのコネクターを抜きます。
これらを外すとカバーとファンを外すことができます。
ファン本体とカバー、ヒートシンクにうっすらと埃が溜まっていたのでエアダスターとアルコールティッシュを使って清掃しました。
ヒートシンクの形状が変わっているので奥に入り込んだ埃を掃き出すのが大変でした。
次はヒートシンクを基盤から取り外していきます。
グラボ背面のスプリング付きネジを4つ外します。
ヒートシンクを外すときは、対角にネジを緩めてダイに偏った圧が掛からないように注意します。
これらのネジを外して慎重にヒートシンクを外すと基盤から取り外すことができます。
やはり長い時間が経っていたこともあってグリスの油分が飛んでカピカピに乾燥しています。
乾いたグリスをパーツクリーナーとペーパータオルを使って落としていきます。
ダイの周辺には細かい実装部品が多く付いているため、タオルの線維が引っかからないように慎重にふき取ります。
コツとしてはクリーナーをしっかり染み込ませてグリスをふやかしたり、スプレーから吐出したクリーナーの圧を利用してグリスを流し出す感じにすると綺麗にしやすいと思いました。
綺麗になったGTX1060のコアがこちらになります。
しっかりとGP106の刻印が見え、GTX1060であることが分かります。
綺麗になったダイに塗るグリスはOCerの清水貴裕さん(a.k.a 液体窒素おじさん)おすすめThermalGrizzryのKryonoutを使用していきます。
塗り替えの簡単なCPUには新製品のネコグリスの01Rを使用しましたが、GPUは実績のある熊グリスを使用しました。
清水さんもおっしゃられているように、熊グリスは極冷にも対応しているグリスであることからクーラーを載せた時に伸びにくく硬い印象があります。
その対策として、ヒートシンクをドライヤー等で温めることでグリスが馴染みやすくなりました(温め過ぎ注意)。
分解した逆順で組み立ててグラボの清掃・グリス交換の完了になります。
オーバークロック編
せっかくグリス交換をしたのでオーバークロックをして遊んでいきます。
MSIのAfterburnerを使用して3DMarkのFireStrikeのスコアアップを目指します。
グラボOCの参考として清水さんのこちらの動画を参考にしました。
OCの条件は、powerlimit、templimitはAfterburner規定のままでベンチマーク中のGPU温度が83℃未満に収まるようOCしていきます。
今回使用した機材一覧は以下になります。
- CPU:Ryzen5 2600X (@4.2GHzOC)
- M/B:ASRock X470 MasterSLI (Bios P1.90)
- メモリ:G.skill SniperX DDR4-3200 8GB*2
- GPU:ZOTAC GTX1060 6GB SingleFan (Driver 446.14)
- SSD:SiliconPower S55 120GB
- 電源:玄人志向 KRPW-N600W/85+
- OS:Windows10 Pro 1909 (Build 18363.836)
まず定格でのFireStrikeのスコアがこちら
グラフィックステスト1で60FPSを切っていることが分かります。
実際にベンチマーク中のFPSの推移を見ていても負荷の軽い場所では60FPSを越えてはいましたが、基本的には50~40FPS台で揺れ動いている様子が見れました。
温度に関しては高くても70℃前半くらいで平均では60℃台に落ち着いていました。
続いてコアクロックのみを限界までOCしたスコア。
コアクロックを+175MHz(Boost 1884MHz)に設定してFireStrikeが落ちずに回ったためそのスコアを掲載しています(それ以上は83℃を越えてしまってベンチが通らなかった)。
スコアは定格と比較して4~5%の向上が見られました。
GPUが関わるスコアはすべて順当に伸び、FPSはグラフィックテスト1でもようやく60FPSを達成しています。
このあたりでベンチマーク中のFPSが70に乗る場面がみられ、体感でも滑らかに動いている様子が見て取れました。
ちなみに、コアクロックは設定上ブーストが1884MHzとなっていますが、実際にクロックの数値を見てみると2050MHz近くまで回っていていることを確認しました。
続いてメモリクロックを限界までOCしたスコア。
メモリクロックは+500MHz(9008MHz)に設定してベンチを通すことができました。
メモリクロックはFPSに影響が少ないという記事を多く見ますが、実際にはコアクロックをOCしたときと同じような傾向が見られました。
スコアの伸びも定格比で4~7%の向上が見られています。
ベンチ動作中の傾向もコアOCと同じような挙動を見せたため、メモリOCもFPSに影響を及ぼしていることが分かりました。
最後にコアとメモリの両方をOCしたスコアになります。
コアクロックは+150MHz(Boost 1859MHz)、メモリクロックは+500(9008MHz)で設定しベンチ完走しました。
定格比で9~10%の性能向上を見せ、スコアは12000を越えました。
前述したコアのみのOCとメモリのみのOCではそれぞれ最大GPU温度が82℃だったため両方をOCしたときはもう少し下げるべきかと思いましたが、コアクロックを若干落としただけで最大82℃に収まり、性能も大きく向上しています。
それぞれのクロック向上によってよりスコアを伸ばすことができ、FPSの向上も見られます。
特にグラフィックテスト2のFPSが55FPSまで向上しており、コアとメモリの両方のクロックを伸ばすことで映像表現の処理性能を向上させていることが分かります。
(FireStrikeの特徴などは下記の記事を参考にしています)
下記がスコアとFPSの結果をまとめたグラフです。
コアクロックのみとメモリクロックのみのOCを比較するとほとんど誤差の範囲に収まっています。
両者をOCするとそれぞれのOCの伸び率が合わさったような結果となり、両者の性能を相殺せず性能向上に繋がっています。
GPU温度に関してもそれぞれのOCで82℃まで上昇していたので両者をOCするにはもう少し上げ幅を減らすべきかと思いましたが、実際にはコアクロックを25MHz下げただけで82℃以内に収めることに成功しました。
もしもグラボOCでゲーミング性能を向上させたい場合はコアとメモリの両方のクロックを上げることで効率よく性能向上を図ることができると推察します。
まとめ
今回はグラボのグリス交換とオーバークロックを行ってみました。
私のPC環境が2600XにGTX1060 6GBという前世代のミドルゲーミングPCのため、最近のグラフィックの綺麗なゲームではFHD・60FPSが厳しいのが現状です。
そこでOCという手段を使ってゲーミング性能の向上を図り、ベンチマーク上では平均60FPSを切っていたものが越える性能を引き出すことができました。
冷却性能をさらに向上させることでOCもさらに伸ばすことができると思うのでグラボの水冷化も行ってみたいところです。